よくわかる現代魔法 たったひとつじゃない冴えたやり方

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    • よくわかる現代魔法 TMTOWTDI たったひとつじゃない冴えたやりかた (集英社スーパーダッシュ文庫)

 前回の終わりがアレだったので、続編が凄く待ち遠しかった一冊。ちなみに題名の反語、ていうか元ネタは「たったひとつの冴えたやりかた (ハヤカワ文庫SF)/ジェイムス・ティプトリー・Jr」というSF小説ですね。高校生だか大学生の時、題名のセンスと挿絵(確か川原由美子さんだったと思う)に惹かれて買ったんじゃなかったかな(そして、まさしく題名そのものの行為を選択したヒロインに泣きました)。
 本作「たったひとつじゃない〜」の主人公である”こよみ”は、「たったひとつの〜」のヒロインには到底追いつけなさそーなドジっ娘で、かつ”カレーの実”なんていう友達の冗談を、本気で信じちゃったりするほどの朴訥さを備えた、一見”冴えた”とは縁遠そうな人間です。しかし、ひたむきな努力と、ここ一番での不退転の決意と、なけなしの勇気が、能力の高い他のヒロイン達が選ぶ”やり方”よりも”冴えたやり方”を選択していたりする。善く努力すれば報われる。そんな描写が、読んでいて安心する理由の一つだったりするのかも。
 そうそう、既刊でもエピローグの前にあとがきを入れて”間”を取ったり、文章の演出にも力を入れてきた?(笑)このシリーズ。今作は本文の最終ページに挿絵を持ってきて、絵と文章を同時に終わらせています。よくある手法かもしれませんが、こういう綺麗な演出も小粋でいいですね。
 でもserial experiments lain*1なんてわかるのかなあ。今でも後生大事にDVDを持っていますケド。たまには見てみようかしらん。

*1:嘉穂タンの着ぐるみパジャマ。他のHPの感想を見るまで気づかなかったYO!