神曲奏界ポリフォニカ ぱれっと

 浅井ラボあざの耕平神野オキナ三田誠という、いつものシリーズとは違った作家さん達の短編集。結論から言えば、ただ一編を除いて面白かったと。ぶっちゃけそれは「浅井ラボ」氏なわけですが(苦笑)。こんなことはいいたくありませんが、だめですな、この人は。波長が合わない。楽しませようって臭いも感じられない。
 もともと、ザスニの連載を読んで、精神的に合わないなこの作品、と真っ先に切った「されど罪人は竜と踊る」同様、殺し殺され、またそれに至る心理描写に重きを置いた作品を持ってきた時点で、「おーい?空気読んでよ?」ってな位「ポリフォニカ」世界から浮いています。いや本人の弁を用いるなら、下げているというべきなのか。普通の精神状態の人間にはいらんよなあ、この人の書く黒い文は...。
 実際この短編集、何度か読み返していますが、この人の所だけ飛ばしです。面白くないし、楽しくない。○キな人が殺しを後悔する?いやしない(反語)、だの、心が死んでいるだの、使い古されたネタだし、それでも敢えて前向きに評価するならば、そういう裏世界に酔っちゃう、憧れちゃう、心が幼い厨房世代には向いているお話、ってことなのかなあ?
 神野オキナ氏は「あそびにいくヨ!」とのコラボ。「あそびに〜」を知っている人には2倍楽しいお話です。今回、次元を超えて持ち帰った単身楽団が、「あそびに」本編で登場したりするのかもしれないと思うとまたさらに楽しみが。ちなみに、こちら側の世界の人間が次元を超えて...的展開は一発芸的ネタかと思われるやもしれませんが、そんな事はなく、すでに白ポリで「公式で使って良い事象」になっているのです。余すことなく設定を使う。上手いねえ。
 三田誠氏はレンバルトが主役。自分は才能に溺れず努力するキャラが大好きなので、短編とはいえ、ソロのお話が読めて嬉しい。このままレンバルトで短編集でも綴ってくれないだろうか。
 あざの耕平氏は天才前衛神曲楽士と契約精霊、人前演奏不可の女性奏者と契約を望んでいる上級精霊の出会いと始まり。この一編もまた描写が楽しく、続きが読みたい一編です。

 ね?浅井ラボいらない子(笑)。